Notice 塾長ブログ
専門塾の生徒が、わざわざ隣の教室まで歩く理由

当塾では、専門塾の講座が始まる前に、生徒へ必ず声をかけます。
「よしえちゃんのところに行きな〜」
そう言われた生徒は、講座を受けるために隣の教室まで歩いていきます。
距離にすれば、わずか数メートルです。
しかし、不登校の子、外へ出るだけでも大きなエネルギーを使う子、人の目や周囲の音が気になる子にとっては、その数メートルが大切な一歩になることがあります。
私たちが見ているのは、講座の40分だけではありません
専門塾の講座時間は40分です。
しかし、私たちは、その40分間だけを見ているわけではありません。
家を出るまでの気持ち。
教室へ入るまでの緊張。
誰かとすれ違うこと。
自分の席まで歩くこと。
誰かがいる場所で椅子に座ること。
講座を終え、もう一度人の中を通って帰ること。
そのすべてが、お子さんにとって大切な経験だと考えています。
入口の目の前に座る方が、確かにラクです
本当は、入口のすぐ近くに席を用意する方が簡単です。
教室へ入って、すぐに座る。
周囲をあまり見ず、誰とも関わらない。
40分間の講座を受け、そのまま帰る。
その方が、お子さんにとって負担が少なく、保護者の方にも安心に見えるかもしれません。
しかし、それでは教室へ来ても、誰とも少しも「かすらず」に終わってしまいます。
誰とも目が合わない。
誰の声も聞かない。
ほかの子が勉強している姿も見ない。
自分以外の人が頑張っている空間を通らない。
せっかく家を出て教室まで来られたのに、それでは少しもったいないと私たちは考えています。
元気な小さい子どもたちの間を通る
専門塾の生徒が隣の教室へ向かう途中には、小さい子どもたちがいます。
元気に話している子。
先生に話しかけている子。
笑っている子。
泣いている子。
教室には、幼い子どもたちのにぎやかなエネルギーがあります。
その中を、専門塾の生徒は歩いていきます。
最初は、しんどいと感じる子もいます。
人がいるだけで疲れる子や、大きな声や物音を負担に感じる子もいます。
それでも、学校や職場、地域など、家の外にはさまざまな人がいます。いつも静かで、自分だけの空間が用意されているとは限りません。
だから当塾では、完全に人の気配を遮断した環境だけで終わらせず、少しだけ誰かの存在を感じる場所を通ってもらいます。
無理に会話をさせるわけではありません。
無理に誰かの輪へ入れるわけでもありません。
まずは、人の中を通るだけ。
誰かの声を聞くだけ。
同じ空間にいるだけ。
その小さな経験を、少しずつ積み重ねていきます。
その先では、中学受験に向かう子どもたちが勉強しています
小さい子どもたちの間を抜けると、今度は小学6年生の中学受験クラスがあります。
そこでは、子どもたちがそれぞれの目標に向かい、集中して問題を解いています。
先生へ質問する子もいます。
黙々と机に向かっている子もいます。
先ほどまでのにぎやかな空間とは、教室の空気が変わります。
専門塾の生徒は、その中を通って、教室の真ん中にある大きな机へ向かいます。
初めは、
「ここに座るの?」
「ほかの人がいる」
「あとから誰かが来るかもしれない」
「見られているような気がする」
と、不安を感じる子もいます。
それでも、誰かがいる場所で椅子に座ること、誰かが勉強している空間で自分も勉強することは、大切な経験です。
ほかの子と比べるためではありません。
「自分以外の人がいる場所でも、自分の課題に取り組めた」
という経験を積むためです。
それは、学校復帰や高校進学、その先で社会と関わっていくための練習にもなります。
勉強する場所。でも、勉強だけでは終わらせません
専門塾は、勉強する場所です。
読み書きや計算はもちろん、国語、数学、英語、高校受験や進学先を考えることも大切にしています。
しかし、不登校の子や発達に特性のある子にとっては、勉強の前後にある時間にも大きな意味があります。
教室へ入る。
人の中を歩く。
先生のところまで自分で行く。
誰かがいる場所で席に座る。
ほかの人と同じ机を使う。
講座が終わったら、また自分で戻ってくる。
これらはすべて、家の外で過ごし、人や社会とつながるための練習です。
私たちが生徒を隣の教室まで歩かせるのは、面倒だからでも、部屋が空いていないからでもありません。
そこには、きちんと理由があります。
誰かと少しだけ「かすって」帰ってほしい
専門塾の子どもたちには、誰かと少しだけ「かすって」帰ってほしいと思っています。
たくさん話さなくてもいい。
友達を作らなくてもいい。
無理に笑わなくてもいい。
みんなの輪に入らなくてもいい。
それでも、
同じ空間に誰かがいた。
誰かが勉強していた。
小さい子どもたちがにぎやかに過ごしていた。
先生が声をかけてくれた。
自分もその場所を歩いた。
自分もその空間にいた。
それだけで十分な日があります。
不登校の子にとって、家族以外の人と少しでも接することは、大きな一歩です。
学校へ行く前に、まずは当塾で人の気配に慣れる。
教室の空気に慣れる。
誰かがいる場所で過ごすことに慣れる。
その経験を、一つずつ積み重ねていきます。
当塾の取り組みには、すべて理由があります
「なぜ、わざわざ隣の教室まで行かせるのだろう」
そう思う保護者の方もいるかもしれません。
しかし、ただ移動させているわけではありません。
ただ厳しくしているわけでもありません。
あえて、にぎやかな場所へ入れているわけでもありません。
お子さんが少しずつ外の世界に慣れていくため。
人の中で過ごす感覚を取り戻すため。
勉強だけでなく、生活する力や社会と関わる力を育てるため。
そのために、隣の教室まで歩いてもらっています。
信じて、連れてきてください
初めは、泣く日もあるかもしれません。
嫌がる日もあるかもしれません。
玄関で動けなくなる日や、車から降りられない日もあるかもしれません。
それでも大丈夫です。
すぐに変わらなくても大丈夫です。
毎回、完璧にできなくても大丈夫です。
その日によって、調子が違っても大丈夫です。
私たちは、講座の40分間だけを見ているわけではありません。
家を出るまでの大変さ。
当塾まで連れてくる保護者の方の頑張り。
教室へ入るまでのお子さんの緊張。
講座を終えたあとの疲れ。
帰宅してからの反応。
そのすべてを含めて、お子さんの歩みを見ています。
だから、信じて連れてきてください。
当塾の専門塾は、勉強だけをする場所ではありません。
子どもがもう一度、家の外へ出て、人の中で過ごし、社会とつながっていくための場所です。
いきなり学校へ戻れなくてもいい。
いきなり集団へ入れなくてもいい。
いきなり頑張れなくてもいい。
まずは、隣の教室まで歩く。
そこから、一緒に始めていきましょう。
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